ビデオコーディング規格AV1とH.266/VVCの違いとは?意味、画質、ファイルサイズ、再生支援などを徹底比較!

映像コーデックAV1とH.266/VVC、どちらもビデオコーディング規格ですが、実は別物であることをご存知でしょうか。

「AV1とH.266/VVCの違いはどこにありますか」と質問した人は多く、その意味、画質、ファイルサイズ、特徴、汎用性、速度、再生支援などではどこか違います。今回は、新しい動画圧縮規格H.266/VVCと高圧縮が可能な最新エンコード規格AV1の違いを徹底比較していきます。

【AV1 vs VVC】ビデオコーディング規格AV1とH.266/VVCの違いとは?

ビデオコーディング規格AV1とH.266/VVCの違いを正確に理解していなければ、使い分け、活用にも悩んでしまいます。

以下では、映像コーデックAV1とH.266/VVCの違いを理解して正しく使い分けができるように解説していきます。

それぞれの意味、画質、ファイルサイズ、特徴、汎用性、処理速度、再生支援の違いについて、しっかりと理解しておきましょう。

1、AV1 vs VVC:意味の違い

AV1の意味って?AV1とは:AOMedia Video 1の略称で、非営利団体のAlliance for Open Mediaが開発したオープン・ロイヤリティフリーな動画圧縮コーデックです。主にGoogleのVP9に基づいて、DaalaとThorとVP10の技術を組み込んで開発され、GoogleのVP9やAppleのHEVC/H.265の置き換えを目指しています。

  • 【標準化団体】AOM(IETF)
  • 【開発者】Alliance for Open Media
  • 【初版】2018年3月28日(2年前)
  • 【種別】動画ファイルフォーマット
  • 【包含先】ISOBMFF (MP4)、Matroska、WebM、RTP (WebRTC)
  • 【派生元】VP9/VP10、Daala、Thor
  • 【参加メンバー】Amazon、アップル、ARM、シスコ、Facebook、Google、IBM、インテル、マイクロソフト、Mozilla、NVIDIA、Netflixなど
  • 【オーペンフォーマット】Yes

H.266/VVCの意味って?H.266/VVCとは:Versatile Video Codingの略称で、Joint Video Experts Team (JVET)によって2020年中頃の完成を目指して開発されている未来の動画圧縮標準規格です。以前のH.26xとMPEG動画圧縮規格のようにVVCのデータ圧縮アルゴリズムは離散コサイン変換(DCT)による符号化に基づいて、Apple、Ericsson、Intel、Huawei、Microsoft、Qualcomm、Sonyなどの業界パートナーと共に、標準化に取り組んで、AppleのHEVC/H.265の置き換えを目指し、2020年の秋にH.266/VVCをサポートする最初のソフトウェアエンコーダー/デコーダーを公開する予定です。

  • 【標準化団体】ISO/IEC ITU-T
  • 【開発者】Joint Video Experts Team (JVET)
  • 【初版】2018年4月(2年前)
  • 【種別】動画ファイルフォーマット
  • 【参加メンバー】Apple、Ericsson、Intel、Huawei、Microsoft、Qualcomm、Sonyなど
  • 【オーペンフォーマット】No
AV1とH.266/VVCの違い:発展歴史
AV1とH.266/VVCの違い:コーデック技術の発展歴史
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2、AV1 vs VVC:画質の違い

AV1はH.265/HEVCと比較してみると、30〜43%ほどビットレートを削減でき、これによって消費者により優れた画質のコンテンツを提供できます。

H.266/VVCはH.265/HEVCと比較してみると、約50%ほどビットレートを削減でき、これによって映像の視覚的な品質を損なう事はなくより優れた画質のコンテンツを提供できます。

だから、画質的ではH.266/VVCの方がAV1より綺麗です。

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3、AV1 vs VVC:ファイルサイズ(圧縮率)の違い

AV1の動画圧縮率はH.265/HEVCと比べて2割以上向上でき、H.265/HEVCより30〜43%が圧縮率を下げられます。

一方、新しい動画圧縮規格のH.266/VVCの動画圧縮率はH.265/HEVCより50% 程の圧縮効率を実現します。

もっと詳しく言えば、H.266/VVC はSD/HD/4K/8Kといったあらゆる解像度の動画ファイル容量を、既存の「H.265/HEVC」と比較して、約50%も削減することが可能です。

90分の4K映像はデータ量がH.265/HEVCで約10GBになるのに対し、AV1では約5.7GB、H.266/VVCでは約5GBに抑えられます。

【AV1の符号化性能(HEVC比)】11%(2018年5版)

【H.266/VVCの符号化性能(HEVC比)】36%(2019年4版)

だから、ファイルサイズ(圧縮率)ではAV1よりH.266/VVCの方が圧縮率が高いです。

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4、AV1 vs VVC:特徴の違い

H.266/VCCとは違い、AV1の最大な特徴と言えば、「ロイヤリティフリー(ライセンス料無償)」と「オーペンソースによるリファレンス実装の提供」ということです。

【AV1の特徴】

  • ・GoogleのVP9の後継方式として、オープン・ロイヤリティフリー(ライセンス料無償)で、インターネット企業による開発ストリーミング向け符号化方式です。
  • ・H.265/HEVCを上回る符号化効率性能を持ち、Google Chrome、Mozilla Firefox、Netflix、AndroidなどがAV1動画コーデックをサポートしています。
  • ・AOMによるコンソーシアム規格を策定します。
  • ・IETFで標準化されています。
  • ・2019年3月27日に、SISVELがライセンスプログラムを開始していました。

H.266/VCCの最大な特徴と言えば、効率的にエンコードを行える点です。それはつまり、H.266/VCCは符号化する際のブロック分割サイズが3分割や2分割などに柔軟にサポートされているということです。

【H.266/VCCの特徴】

  • ・H.265/HEVCの後継方式として、主観的に倍の符号化性能を持ちながら、より高い符号化効率を持って、従来の2次元映像以外もサポートされています。
  • ・4K/8K映像に加えて、360°映像などの没入感の高いアプリケーションの効率的な伝送を可能にする機能性やスケーラビリティをサポートしています。
  • ・MC-IFによる支持・プロモーション
  • ・様々なプレーヤー(サービスプロバ イダー(放送、OTT)、メーカー、 研究機関)が参画しています。
  • ・高い符号化性能を備え、デコーダの演算処理量が少なくなります。
AV1とH.266/VVC違い:特徴・開発状況
AV1とH.266/VVC違い:特徴・開発状況
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5、AV1 vs VVC:汎用性

AV1は2018年3月に標準規格を発表するので、急速に展開を進め、ほとんどすべてのチップ上でAV1対応のデバイスが使えると2020年に宣言しています。AV1が扱えるデバイスは下記の通りです。

  • ❶、ブラウザ:Google Chrome70以降、Mozilla Firefox 67以降、Vivaldi 2.1以降、Microsoft EdgeのChromiumベースのプレビュー版、Opera 57
  • ❷、メディアプレーヤー:VLC media player 3.0、mpv v0.29.0、MKVToolNix v22.0.0、Bitmovin v1.50、MPC-HC v1.8.1です。
  • ❸、デコードソフト:VideoProc、FFmpeg 4.0、GStreamer 1.14、MediaInfo v18.03、Aviutl

一方、H.266/VVCは2020年7月に標準化完了され、対応するチップは現在設計中で、H.266/VVCをサポートするソフトウェアエンコーダーとデコーダーは2020年秋に登場される予定です。

だから、現在から見れば、AV1の方が汎用性が高いです。しかし、H.266/VVCの開発が進んで、規格策定時期を前倒しして、今後AV1への対抗意識をにじませます。

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6、AV1 vs VVC:処理速度の違い

AV1の処理速度に関しては、2019年12月に発表されたエンコーダー改良版なら、既存版と比べて処理速度が最大70%高速化されました。AV1がH.265/HEVCと比較してエンコーディングには約2.5倍〜6.7倍の時間を要しました。

デコードの場合は、AV1がH.265/HEVCと比較して約2.5倍の時間を要しました。現時点では、デコードの処理速度は、H.265/HEVCとの差異は小さいです。

一方、AV1と競合と想定されるH.266/VVCの処理速度に関しては、現在の情報量は少ないです。JVETの公式資料を参考にして、H.266/VVCがエンコード処理量がH.265の約10.4倍、デコード処理量は約1.9倍です。

だから、処理時間ではAV1よりH.266/VVCの方が長くなります。H.266/VVCは現在開発中、各社の開発が進んで実行環境を整え、これから処理時間は十分に短縮されるかもしれません。

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7、AV1 vs VVC:再生支援

AV1の汎用性が高く、今流行っているブラウザやメディアプレーヤーで再生することが可能です。

Windows10の場合は、AV1動画を再生するために、Microsoft Corporationがメディア拡張機能「AV1 Video Extension」を提供しています。このAV1再生支援フリーソフトをインストールした後、「映画・TV」や「Microsoft Edge」などではAV1動画をスムーズに再生できるようになります。

現在、この新しいビデオコーディング規格H.266/VVCの標準化にあたり、Appleやエリクソン、Intel、Huawei、マイクロソフト、クアルコム、ソニーなどといったパートナーと共同で作業に当たったとしていて、H.266/VVCが普及すれば、AV1より多くのデバイスにサポートされるかもしれません。

最新情報によると、AV1がストリーミング配信、H.266/VVCが放送分野とすみ分けると言われます。

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8、AV1 vs VVC:仕様の違い

【AV1の場合】

  • 【コンテナ】WebM
  • 【音声フォーマット】Opus、ベースバージョンのコーデック、10/12ビットのエンコーディング
  • 【色空間】BT.2020

【H.266/VVCの場合】

  • 【コンテナ】MP4
  • 【音声フォーマット】AAC
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【徹底比較】ビデオコーディング規格AV1とH.266/VVCのメリット・デメリットを解説

前に紹介したような【AV1 vs VVC】ビデオコーディング規格AV1とH.266/VVCの違いについては把握できていても、実際のところどこに注意すべきでしょうか。AV1とH.266/VVCのメリット・デメリットは何?など、関心を持っている方も多いのではないでしょうか。

以下では、AV1とH.266/VVCのメリット・デメリットについて解説します。

【AV1ののメリット・デメリット】

  • ❶、オープンソースで、特許料を無料にする「ロイヤルティーフリー」の仕組みで、誰でも無料で使います。
    ❷、圧縮率が高くてパテントフリー、多くの企業に賛同されています。
    ❸、簡素化されたプロファイルグループごとに、画面コンテンツのコーディング、スケーラビリティ、ARとVRに対応など、全てのツールがサポートされています。

  • ❶、動画エンコードは莫大な時間がかかります。
    ❷、高い処理性能を搭載するハイスペックなパソコンが必要です。

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【H.266/VVCのメリット・デメリット】

  • ❶、SD/HD動画、360度パノラマ映像、HDRビデオ、画面共有コンテンツ、4K/8K映像などにサポートされています。
    ❷、画質を落とせずに、高圧縮率・高画質で映像をより高速に伝送できます。
    ❸、モバイル端末等向けチップを現在開発中で、同技術をエンコード/デコードできるソフトウェアを今秋に発表する予定です。
    ❹、柔軟なブロック分割機能を持ち、従来より効率的に動画データをエンコードできます。
    ❺、HD系の8K映像や4K映像でのビットレート改善が見込まれます。

  • ❶、現在開発中で、普及されるまでちょっと時間がかかります。
    ❷、AV1とは違い、H.266/VVCはロイヤルティーフリーではなく、特許団体を一本化し、使いやすいライセンス料に設定します。
    ❸、高い処理性能を搭載するハイスペックなパソコンが必要です。
    ❹、処理時間ではH.266/VVCの方がAV1より長くなります。

AV1とH.266/VVC違い:メリット・デメリット
AV1とH.266/VVC違い:メリット・デメリット
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最後に|AV1とH.266/VVCどっちが良い?

ここまでに意味、画質、ファイルサイズ、再生支援などではAV1とH.266/VVCの違い、及びAV1とH.266/VVCのメリット・デメリットを様々な観点で比較してきました。結局のところAV1とH.266/VVCどちらかが優れているという結論は人それぞれです。

以下では、私個人としての意見で、宜しければ、ご参照ください。

上述で紹介されている資料を読む限りでは、H.266/VVCの方がAV1より符号化性能が優れ、処理量も少ないという説明になっているので、AV1よりH.266/VVCの方がいいと書かれています。

しかし、H.266/VVCは現在開発中で、資料で紹介されている通りに発表されるかまだ分かりません。

総合的で言えば、技術的には優れたコーデックであっても、十分な製品やサービスは提供されずに、代替技術や旧世代コーデックの利用を強いられることになる可能性が高いです。

だから、H.266/VVCとAV1どっちが良い?どちらがダメだということはまったくありません。性能、汎用性(普及率)、サポートされているデバイス、エンコード時間などを考え、ニーズに合った動画コーデックを選ぶことをおすすめします。

H.266/VVCとAV1動画エンコードソフト

VideoProcは、Digiarty社から開発される動画処理ソフトです。UIが直感的で分かりやすく、初心者でもすぐ操作できます。H.266、H.265、AV1ファイルを他の形式(4K、FHD、MKV、TS、AVCHD、MP4、MOV、AVI、FLV)に変換したり、H.266、H.265、AV1ファイルを編集したりすることができます。

この記事を書いた人:山上スズキ

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