H.266(VVC)とH.265(HEVC)の違いを徹底比較する!どっちが良いかと解説!

H.265 (HEVC)コーデックの後継であるH.266コーデック、通称VVC(Versatile Video Coding)は、現在の市場において最も効率的なコーデックとされます。

いよいよ2020年7月から本格的な実用化段階に入るが、業界で広く注目されています。

今回の記事では、「H.266」に興味がある方に向けて、「H.265」と「H.266」の違いを比較して解説しましょう。

(1)各方面でH.266とH.265違いを比較!

H.266とH.265違い:概要

H.265とは

2013年に標準化されて国際規格となる動画圧縮規格の一つです。

両団体からの共同チームにより開発されたため2個の名前を持っています。

現在主流となっているビデオコーデック「H.264/MPEG-4 AVC」の後継規格として、高評価されるほどの効率にもかかわらず、特許ライセンス料の高騰や権利関係の複雑化等の不備により、 登場から約7年経った今も普及していませんでした。

  • 【標準化団体】NETVC/MPEG LA
  • 【開発者】Joint Collaborative Team on Video Coding(JCT-VC)
  • 【リリース日】2013年1月
  • 【参加メンバー】キャノン、三菱電機、日本電信電話、NTTドコモなど23の企業や大学
  • 【ライセンス】有料
  • ※H.265/HEVCコーデックの利用者は少なくとも4つの特許プール・企業と個別に契約し、それぞれに対して特許使用料を支払う必要があります。
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H.266とは

2020年7月の標準化を目指している次世代の動画圧縮規格の一つです。

一般的に使用されているエンコード技術の中では、最も新しいエンコード技術となります。

Apple、Ericsson、Intel、Huawei、Microsoft、Qualcomm、Sonyなどの業界のパートナーとともに数年にわたり研究と標準化のために取り組んだ努力の成果です。

大幅な性能向上を狙う技術面に加えて、H.265で生じた特許団体の乱立問題を解決する機運が高まっています。

また、次世代ビデオコーデックの規格争いで、ライバルである台頭するAV1への対抗する姿勢もにじませます。

 
  • 【標準化団体】ISO/IEC ITU-T
  • 【開発者】Joint Video Experts Team(JVET)
  • 【リリース日】2020年7月
  • 【参加メンバー】Apple、Ericsson、Intel、Huawei、Microsoft、Qualcomm、Sonyなど
  • 【ライセンス】有料

もっと読む:H.266/VVCとは何か?次世代高圧縮率の動画コーデックVVCについての全般

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H.266とH.265違い:アルゴリズムと圧縮率

動画圧縮規格の圧縮率は、データ圧縮アルゴリズムによって決まります。

H.266やH.265に採用された圧縮アルゴリズムの原理は、従来のH.26xとMPEG動画圧縮規格と基本的には同様で、空間変換やフレーム間予測、量子化、エントロピー符号化を採用しています。

  • H.264(AVC):4×4と8×8のブロックサイズの整数離散コサイン変換(DCT)を使用します。
  • H.265(HEVC):4×4と32×32の間でブロックサイズを変化させた整数DCTとDST変換を使用します。
  • H.266(VVC):離散コサイン変換(DCT)による符号化に基づいて、以前ので使われたタイプII DCT (DCT-II)に加えて、タイプVIII DCT (DCT-VIII)も使用します。

H.265と比べて、H.266は、これらのツールに対して非常に多数の改良が施されており、同等の視覚的品質に対して30%〜50%改善した圧縮率を達成しています。

例えば、90分の動画をH.265/HEVCでエンコードした場合に10GBの容量になったとしたら、H.266/VVCなら画質を犠牲にせずに半分の5GBにまで圧縮可能です。

H.266とH.265違い:アルゴリズムと圧縮率
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H.266とH.265違い:エンコード時間

動画圧縮率向上のために新たな機能を追加すればするほど、多くの計算が必要で、エンコード処理時間は長くなってしまう。

インターネットでの評価実験により、H.266の場合、エンコード処理量はH.265の5,6倍から最大10倍となっています。

BBC R&Dが実施したテストによると、同じ条件でH.266のエンコードはHEVCより6.5倍長く、デコードには1.5倍の時間かかります。

なので、ハードウェアエンコーダーやデコーダーがないとH.266を普及させるのは難しいでしょう。

2020年7月の現在、H.266はまだまだハードウェア方面からの支援はなさそうです。

業界団体の努力でもすぐに対応可能と予想されるが、高い処理性能を持つハイスペックなパソコンを所有しないと利用できません。

    注意

  • ハードウェアアクセラレーション技術を活用することで、動画エンコードやデコード時間が大幅に縮められます。H.265はリモートグラフィックやビデオのハードウェアアクセラレーションに対応できます。
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H.266とH.265違い:使用用途・分野

H.265は4K〜8K、H.266は4K〜16Kといった高解像度を想定して開発されている優秀なエンコード技術であり、使用用途と使用分野はほぼ同じです。

H.265と比較して、H.266は同等の映像品質でビットレートを約50%削減することができので、高画質な映像をより高速に伝送できて、データ容量が限られるモバイルネットワークでの映像伝送をより効率化できるとします。

モバイル機器での利用に加え、テレビで4K、8K映像をストリーミング視聴する時にも有益でしょう。

現在の4K放送や夏から始まる8K試験放送には、H.265/HEVCが主流として使われているが、H.266/VVCの汎用性が向上したことで、H.266/VVCの利用が世界的に拡大すると見込まれます。

また、H.266は360度映像もサポートしているため、360度のパノラマ映像配信などへの活用も期待されています。

要するに、H.266はもっとも将来性のあるビデオコーデックです。

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H.266とH.265違い:対応機器

あまり特殊なコーデックを使うと後々再生や編集に困ったりするので、ある程度汎用性があり入手が容易なコーデックを使うことをおすすめします。

現在、H.265に対応可能なデバイスや機器は以下の通りです。

  • ➊.現在はiOS 11 以降を搭載したiPhoneやiPad
  • ➋.macOS High Sierra以降を搭載したMac
  • ➌.DJIドローンの MAVIC2 Pro / MAVIC2 Zoom / Inspire2 / Phantom4 Proシリーズです。
  • ➍.ネットフリックス、Amazonプライム・ビデオ、YouTube 、dアニメストア、ニコニコ動画、Channel 4K、ケーブル4K、Ultra HD Blu-ray。

一方、現在の一般的な機器にて、H.266/VVCとほぼ互換性がないと理解しても良いです。

高圧縮の方式でデータ容量を抑えたとしても、結局、見ることができないという事態にもなるため注意が必要になります。

ネットでの最新報道によると、秋に、H.266/VVCをサポートする最初のソフトウェア(エンコーダーとデコーダーの両方)をリリースするということです。

また、モバイル機器に搭載可能なH.266/VVC対応の新しいチップの設計も進められているそうです。

一般消費者の視点から見るとH.265のほうが汎用性があり入手が容易でずっと実用的でしょう。

もっと読む:VVC/H.266再生できない?VVC/H.266再生方法まとめ|無料・高画質

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H.266とH.265違い:ライバル

「H.266」→「AV1」

H.266の主なライバルはAV1です。

AV1とは、非営利団体のAOMediaによって開発されており、2018年3月に正式にリリースされたオープンソースかつロイヤリティーフリーの動画圧縮コーデックです。

主にGoogleのVP9に基づいて、DaalaとThorとVP10の技術を組み込んで開発されて、GoogleのVP9やAppleのHEVC/H.265の置き換えを目指しています。

もっと読む:【2024年】次世代コーデック「AV1」と「HEVC/H.265」の違いを比較!

「H.265」→「VP9」

H.265の主なライバルはVP9です。

VP9とは、Googleが開発しているオープンでロイヤリティフリーな動画圧縮コーデックです。

2012年12月に公開されており、同じ画質で VP8の半分のビットレートにすることと、H.265よりも効率の良いコーデックにすることを目標としています。

そもそも、AV1とかVP9が既に十分な画質で普及し、4Kや8Kが期待ほど伸びず、H.265も怪しい世界で、H.266が普及するのかというのは疑問です。

もっと読む:ビデオコーディング規格AV1とH.266/VVCの違いとは?意味、画質、ファイルサイズ、再生支援などを徹底比較!

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H.266とH.265違い:具体的な仕様・スペック

H.265

【コンテナ】MP4
【標準解像度】:128 X 96~7680 X 4320
【最大解像度】8192 X 4320
【標準ビットレート】16Kbit/s~100Mbit/s
【最大ビットレート】800M bit/s
【彩度、色(Y/Cr/Cb)】YCC フォーマットは4:2:0-4:4:4、RGB
【色深度】8-16bit
【輝度拡張】HDR10/HLG10
【フレーム要素】インターレースあり、IPB triple elements frame、Macro blockは64 X 64、32 X 32~4 X 4
【フィルター処理】Deblocking Filter sample adaptive offset

H.266

【コンテナ】MP4
【標準解像度】:352 X 288~7680 X 4320
【最大解像度】8192 X 4320
【彩度、色(Y/Cr/Cb)】YCbCr フォーマットは4:4:4, 4:2:2, 4:2:0
【フレーム要素】Macro blockは128X 128、32 X 32~4 X 4
【色空間】BT.2100。広い色域と16stops(stopsはカメラの絞りの段数)より明るさの範囲が広いHDR(1000, 4000, 10000 nitsの頂点輝度を持つ)に対応。

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(2)H.265に対応可能な変換ソフトおすすめ

場合によって、H.265コーデックを採用した動画を他の主流であるフォーマットに変換したり、または、iPhoneやパソコン内の大容量動画(TS、AVCHD、MKVなど)を高圧縮率のH.265/HEVCで再エンコードしたりする必要があるかもしれません。

ここでは、H.265変換作業を処理できるPC用ソフト「VideoProc」を推薦したいです。

H.265に対応可能な変換ソフト「VideoProc」
H.2651に対応可能な変換ソフト「VideoProc」

VideoProcでできること

  • ➊.H.265ファイル(8K、4K、FHD、MKV、TS、AVCHD、MP4、MOV、AVI、FLV)に変換できます。
  • ➋.ほぼあらゆる動画形式をH.265で再エンコードすることができます。
  • ➌.カット、結合、テロップ、フィルタ、クロップなど豊富な編集機能も搭載されます。
  • ➍.初心者も使いやすくて、H.265のエンコード・デコード作業がたた3つのstepで完了できます。
この記事を書いた人:小林ほたる

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